光コンピュータの実用化を目指すベンチャー『Optalysys』について調べてみた

optalysisコラムや雑記
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はじめに

今回は、イギリスの大学発ベンチャーのOptalysysについて調べてみました。
Optalysysは、光コンピュータの実用化を目指したベンチャー企業です。

Optalysys

言わずもがな、誰しも光が超高速で伝搬することはご存知でしょう。

Optalysysが目指す光コンピューティングとは、光が持つそのような物的特性を超高速=光速な演算処理に応用しようという動きです。光の特性を活用したアナログコンピューティングと捉えるのが分かりやすいでしょう。

一般に、レンズを通した光の挙動はフーリエ変換で近似できること知られています。このようなフーリエ特性をもちいてパターンマッチングなどに応用した事例などがあります。

さらに、昨今ではDeepLearning(深層学習)の分野でも、学習済みDeepNeuralNetworkモデルの推論において、その高速な光演算処理を適用した事例なども上がってきております。また、DeepLearning(深層学習)は、エネルギー消費の観点から問題があることが度々してきされます。一方で、光コンピューティングは、かなり低消費エネルギーで演算処理をすることができるため、そのような点でも注目を集めています。

Optalysysについて

Optalysysは、イギリス・ケンブリッジ大学のスピンアウトCambridge Correlators Limited (CCL)として始まり、ビッグデータに挑む低消費電力かつ高速な光コンピューティングによるスーパーコンピュータの構築実現を目的に設立された法人組織です。

後に、Optalysys Ltdに改名されました。

主に、ケンブリッジ大学のPhdのメンバーで構成されており、NASAの研究者なども2015年1月頃からJoinしているということです。また、2015年4月には、処理速度320ギガflop/sで低消費電力化を実現したレンズレス光プロセッサのプロトタイプを公開しました。

OptalysysprototypeImage From Optalysys Homepage

CEOは、このように主張しています(引用)

Optalysys CEO, Dr. Nick New:expert in optical pattern recognition

“ Optalysys’ technology will deliver processing power beyond the capabilities of traditional HPC methods and will offer functionality that digital cannot provide, bringing the step change in computing power that is required in Big Data and Computational Fluid Dynamics (“CFD”) applications, for a fraction of the price and power consumption.  This investment will support us in bringing our initial products to market in 2017. ”

目標として、
2017年までに、処理速度7ペタflop/s光コンピューティング技術の商用化。
2020年までに、処理速度17エクサflop/sへの到達。

主なプロジェクト

主に行政の支援・補助金を受けながら光相関器の適用先を模索してるようです。
ホームページに掲載されている限りでは、以下のようなプロジェクトに取り組んでるとのこと。

ProjectGENESYS:遺伝子解析技術への応用

イギリス政府関連の助成を受け、イギリス、ノリッジにあるThe Genome Analysis Centreと共同で遺伝子解析のためのシークエンス検索システムの開発を行っているとのこと。また、Optalysysでは、生命情報学(bioinfomatics)を、初期の光コンピューティング技術を適用するターゲット市場と考えており、この市場は2020年までに世界で133億ドル規模への成長を予測しているようです。

Markets and Markets:

Bioinformatics Market worth .89 billion in 2027, at CAGR of 14.5%
According to MarketsandMarkets the global bioinformatics market is projected to reach .50 billion in 2023 from .17 billion in 2017, at CAGR of 14.5%. Don稚 ...

ProjectESCAPE:数理気象予測への応用

欧州委員会の2020イノベーションプログラムとして助成を受け、European Centre for Medium-Range Weather Forecasts(ECMWF)を先導とし、世界最大規模の数値気象予測のためのHPC開発に取り組んでいるようです。

ECMWF :

ECMWF
Advancing global NWP through international collaboration

その他

遺伝子解析、MRIスキャニングなどのパターンマッチング、天候の将来予測、車体やエンジンなどの設計、貿易船のための海洋予測のためのモデルシュミレーション、その他ビッグデータ関連
も応用先として検討しているということです。

資金調達

ホームページやOptalysy関連の記事に記述されてる情報をざっくりまとめてみました。
公式な情報ではないので、あくまで参考として。optalysys資金調達

さいごに

今日、コンピューティング技術はエクサスケールレベルでの実装が求められています。

しかし、その実現には、少なくとも200MWの電力(現状世界最高のスパコンである中国のスーパーコンピュータTianche-2 でも年間24MW)、コスト換算で年間$21mを要するといいます。

アメリカ大統領オバマ氏も、医療、セキュリティ、複雑シュミレーションにおけるニーズから、2025年までに現在のハイエンドコンピュータの20倍である1エクサFLOP/Sのスーパーコンピュータの開発着手を明言しています。

このような現状も相まって、光コンピューティング技術は光子の並列性を利用した並列処理による高速化低消費電力の実現も注目されています。

最近では、GoogleがD-wave買収など量子コンピューターまわりのテクノロジーに本格的に参入し始めています。これからのコンピューティング技術の発展が楽しみです。

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